上手く話が出来なかったり、何を言っているかわからなくなった経験ありませんか?
また、仕事が遅い、段取りが苦手と思った経験もあるかと思います。
それは、物事を論理的に考える事が上手く出来ていないからかもしれません。
もしあなたが管理職なら、こういった部下や若手はいませんか?
もはや社会人の常識となったロジカルシンキングですが、これがしっかり身に付いていないと仕事はもちろん日常生活でも、何かやらかしてしまうかも知れません。
聞いた事はあるけれど身についていなかったり、人に説明できない、どんなものかよく知らないという人のために、わかりやすく解説します。
ロジカルシンキングとは?
ロジカルシンキング(論理的思考)とは、「物事の因果関係や包含関係に基づいて問題解決のために最も重要な考え方」です。
ちょっと難しく聞こえてしまいましたが、要は結果や結論に対して、その理由や根拠を考えて理解する事です。
例えば、ロジカルシンキングの具体例としてアリストテレスの言葉が有名です。
すべての人間は死ぬ。
ソクラテスは人間だ。
↓
ゆえにソクラテスは死ぬ
別の例として
人間は哺乳類である
私は人間である
↓
私は哺乳類である
と言ったように、物事を順序立てて整理し、矛盾が無いように結論を出す考え方です。
これは、実は簡単な様に見えて、普段から意識していないとビジネスや日常生活で使えるレベルのロジカルシンキングを身につける事はできません。
ロジカルシンキングは理屈っぽい?
ロジカル=論理的に考える人は理屈っぽいと思われがちですが、これはロジカルシンキングが中途半端だとそう思われてしまいます。
ロジカルシンキングは「話の筋道が明確で矛盾のない結論」を導き出さなければなりません。
理屈っぽい人の話は、個人の主観や思い込みが多く矛盾だらけです。
例えば
- 外国は進んでいる、だから日本はダメなんだ
- 学校にいる友達が皆んなロボットに見えた、だから俺は学校に行かない
- 仕事で結果は出てないけど、まだ本気出してないだけだから
と言った感じです。
どうですか?
一見すると、どれも主観的で矛盾がありますよね。
単なるわがままに見えてしまいませんか?
しかし明確な理由や根拠があれば、上の例のような事を言ったとしても相手を説得出来るかもしれません。
つまり理屈っぽい人は、ロジカルに言っているように見えますが、根拠がなく、矛盾があるので中途半端になっているんです。
このようにロジカルシンキングは、きちんと根拠があり、矛盾がない結論が出ていないと、理屈っぽいと言われてしまうので注意が必要です。
ロジカルシンキングで身につく力
ロジカルシンキングを身につける事で、様々なメリットがあります。
「前提となっている事実から筋道立てて答えを導く習慣」がつく事で、物事を客観的に見る事が出来、分析力が向上します。
これは、問題解決に必要不可欠な能力です。
「仕事の段取り」なんか決める際にもとても重要な事ですよね。
これが出来ると、物事を相手にわかりやすく伝える能力も身につき、コミニケーション能力の向上にも直結します。
どれもビジネスにおいて、とても重要なスキルですよね。
つまり、仕事ができない人はロジカルシンキングができていないと言う事になります。
「仕事が出来るようになりたい」「もっと説得力のある話ができるようになりたい」と言う場合には、ロジカルシンキングを身につけなければいけません。
ロジカルシンキングの基本のき
ロジカルシンキングの考え方は大きく分けて2つあります。
どちらも皆んな、普段の生活で無意識に使っていますよ。
演繹法(えんえきほう)
演繹法は「三段論法」とも呼ばれ、上で例に挙げたアリストテレスの有名な言葉もこれにあたります。
抽象度の高い事実から、具体的な事実に落とし込んで、結論を導く方法です。
例
全ての人間は死ぬ
ソクラテスは人間だ
↓
ゆえにソクラテスは死ぬ
抽象的:全ての人間
具体的:ソクラテス
また、ジャイアンとのび太を例にすると
俺の物は俺の物
のび太はジャイアンのしもべ
↓
お前の物は俺の物
なんて感じになっちゃいます。
鬼滅の刃で例えると
鬼は人間を喰う
禰󠄀豆子は鬼だ
↓
だから禰󠄀豆子は人間を喰う
このようにして、柱は演繹法で「禰󠄀豆子を退治しろ!」と結論を出したんですね。
ビジネスにおいては
利益が120%なければ投資しない
投資をしても90%の利益しか見込めない
↓
だから投資は見送る
と言う風になります。
帰納法(きのうほう)
演繹法とは全くの逆で、複数の具体的な事実をベースにして、抽象度の高い結論を導く方法です。
統計分析にも使われ、多くのデータや根拠から、傾向や要素をしっかり理解し、結論(推論)を導きます。
ここでの結論は、あくまで根拠をもとにした推論であり、いかに説得力のあるものにするかが重要です。
例
金魚はエラで呼吸している
鮭もエラで呼吸している
鯛もエラで呼吸している
他の魚もエラで呼吸している
つまり
全ての魚はエラで呼吸をしている(かも知れない)
個別の小さな具体例が合わさって、抽象的・普遍的な結論を導くイメージです。
ビジネスでの例は、
競合A社は単品管理で業績が上がった
競合B社も単品管理で業績が上がった
ゆえに
わが社も単品管理に取り組むべきだ
と言った感じです。
実際にビジネスでは、もっとたくさんのデータや細かなルールが必要ですが、簡単に言うとこんな風になります。
間違った例
いつも一緒にいる友達がいたとしましょう。
Aはイケメン
Bもカッコいい
Cもモテる
だから
オレもイケてる
これは、情報や根拠が足りず、説得力があるとは言えませんよね。
演繹法と帰納法を使い、事実の因果関係から、抽象度のコントロールをするのが論理的思考の基本です。
抽象度が高すぎると説得力が出ません。
ロジカルシンキングでより具体的にすることで、説得力のあるものになります。
ロジカルシンキングを鍛えるフレームワーク
論理的で矛盾や破綻のない結論を出すためには、たくさんの情報や推論、前提や根拠が必要ですが、それらを整理するために使うのがフレームワークです。
ロジックツリー
課題や問題をツリー型に分解するフレームワークで、簡単に言うと演繹法を図解化したものです。
この様に細分化して、因果関係を明らかにします。
ここからさらにさらに「真鯛なのか金目鯛なのか」→「国産なのか外国産なのか」などのように細分化もできます。
※ロジックツリーを使うときに注意しなければいけないのは、漏れなくダブりなく情報を整理する事です。
「漏れなくダブりなく」を意味する言葉を「MECE(ミーシー)」と言い、この観点を持つ事が大切です。
ロジックツリーを使用すると
- 問題の全体を把握できる
- 問題の原因を特定しやすくなる
- 問題の解解決策を導きやすくなる
などのメリットがあります。
例
魚屋の売り上げが下がった
魚屋の売上が下がったと言う事を例にしてみます。
上のロジックツリーから、どの魚の売り上げが下がっているのか、まずは考えてみましょう。
その結果、鯛の販売数が下がったとして、それを構成しているのはなんなのか、深掘りしてみて下さい。
販売数の構成要素として考えられるのは、
- 顧客減(需要)
- 仕入数減(供給)
- 値段が下がった(単価)
など色々ある事がわかり、原因の特定と対策が立てやすくなりますよね?
頭の中が整理されると共に、問題の全体も把握しやすいので、他の人との共有もしやすいです。
ピラミッドストラクチャー
ロジックツリーとは逆に、結論を先に置き、下に根拠を積み重ねていくものです。
これを使いこなすことで、論理的で説得力のあるコミニケーションが可能になります。
例えば「ロジカルシンキングを学ぶべきである」という結論を先に置きます。
根拠として
- 問題解決能力の向上
- コミニケーション能力の向上
- 提案力の向上
が出来るから。
と言う風に活用します。
この様に、元の結論を伝えて相手を納得させる場合、どのような根拠を用いて、何を説明すれば良いのか明確にする事が出来ます。
ピラミッドストラクチャーのメリットは
- 自分の頭の中が整理されるので、伝えたい事が明確になる
- 主張に説得力が出る
- 矛盾を見つけやすい
- コミニケーションツールとして活用できる
と言う事が出来ます。
なぜなぜ分析
かわいいネーミングですが、トヨタが発端と言われているフレームワークで、5WHY法とも呼ばれます。
何か問題が起きた時、短時間で問題の本質にたどり着くことが出来る非常に有効な手段です。
1つ目の問題に対して、なぜその問題が起きたのかの原因を考え、さらにその原因はなぜ起きたのかと5段階にわたって「なぜなのか」を考えます。
形式的にはロジックツリーと同じ形をとります。
商品を大量発注してしまった
- なぜ発注ミスが起きたのか→発注時に注文数を間違えた
- なぜ注文数を間違えたのか→ダブルチェックをしていなかった
- なぜダブルチェックしなかったのか→ダブルチェックをするルールがなかった
- なぜルールがないのか→担当者任せになっているから
- なぜ担当者任せになっているのか→マニュアルがないから
結論:マニュアルがないことにたどり着いた
マニュアルがないと言うことは、ミスにつながるばかりか、責任の所在も明らかに出来ない。
他の部門にはマニュアルがあるのか
マニュアルがない部門では、担当者任せに起因したミスが起きるかも知れない
マニュアルをつくることで、発注ミスだけでなく、他のミスも減らすことが出来るかも知れない
このように、より深いレベルにある根本的な原因を見つけ、問題を解決することが出来ます。
ただし、なぜなぜ分析をしっかりと機能させるには評価者の訓練が必要です。
きちんと因果関係を掴んでいないと、間違った結論に辿り着いてしまう可能性もあるからです。
例
なぜ発注ミスに気がつけなかったのか→担当者が忙しかった
結論:発注は忙しくない、ヒマな時にする
というルールが出来上がってしまいます。
また、担当者が寝不足だったと言う理由だと
結論:担当者は発注の前に充分な休息を取らなければならない
と言うことになってしまいます。
これでは、ヒマな時にしか発注できない、休息を取らなければならないと言うおかしなことになってしまいます。
間違った分析をしない為には
・特定の状況のせいにしない
・個人のせいにしない
と言うように「時と場合によるような原因」を結論にしないことに注意することがポイントです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ロジカルシンキング(論理的思考)とは、「物事の因果関係や包含関係に基づいて問題解決のために最も重要な考え方」です。
ロジカルシンキングを身につける事で、物事を客観的に見る事が出来、分析力が向上します。
また、物事を相手にわかりやすく伝える能力も身につき、コミニケーション能力の向上にも直結します。
簡単なように見えても普段から意識していないと、ビジネスで使えるレベルのロジカルシンキングを身につける事はできません。
演繹法や帰納法などロジカルシンキングの基本を意識し、フレームワークを活用して、様々な問題に活用してみて下さい。
他にも3日坊主にならないテクニックも解説しています。よかったら読んでください。
コメント