気軽に使えて、とても便利なガス器具。
ホワイトガソリンに比べて燃料コストが低く、その用途はバーナーからコンロ、ランタンまで様々。
ガスコンロがあれば、キャンプ場でも自宅と同じように調理することができます。
また、ガスランタンは気軽に使えてとても便利です。
しかし寒さに弱く、気温の低い日や冬では、火力が弱かったり火が付かないこともあります。
キャンプで火が使えないなんて、死活問題です。
今回は、なぜそのような事がおこるのか、対策やお役立ちグッズをご紹介します。
ちなみに我が家ではガスランタンを使っています。
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なぜガス器具は、寒い時に火力が弱くなったり火がつかなくなるのか
ガス缶を振ると「シャカシャカ」と音がしますよね?
ガス缶の中のガスは、ギューっと高い圧力をかけられて液体になっており、その液化ガスが気化することで火を燃やすことが出来ます。
液化ガスが気化する際、周りの熱(エネルギー)を奪って気化してきます。
例えるなら、注射をするときにアルコール消毒をするとヒヤッとしますよね?
あれは、アルコールが蒸発する時に周りの熱を奪ったためです。
また、夏の夕方などに打ち水をすると、周りの空気が涼しくなりますよね?
あれも同じように、地面にまかれた水が蒸発する際に、周りの熱を奪っていくためです。
個体が液体になったり、液体が気体になるなど状態が変化する際には、エネルギーの移動が起こります。
実際にガスを使い続けると、缶がどんどん冷やされてしまい、ガスが気化しにくくなってしまうため、火力が弱くなったり火がつきにくくなってしまうんです。
これがいわゆる「ドロップダウン現象」です。
ドロップダウンを防ぐには?
このドロップダウン現象を防ぐためには、
- 適切なガスの種類を選ぶ
- ガス缶を温める
という2つの方法があります。
ガス缶に使用されるガスにはいくつか種類があり、その特徴を知る事で様々な環境に対応できます。
また、万が一ドロップダウンが起きても、対策が分かればなんとかなります。
では、細かく見て行きましょう。
適切なガスの種類を選ぶ
ガス缶に使用されるガスには
- ノルマルブタン(ブタン)
- イソブタン
- プロパン
の3種類があります。
それぞれガスごとの沸点(気化する温度)を比較してみましょう。
ガスの種類 | 沸点 |
---|---|
ノルマルブタン (ブタン) | -0.5℃ |
イソブタン | -11.7℃ |
プロパン | -42℃ |
気温が低い環境では、プロパンのような沸点が低いガスほど安定して気化出来るため、十分な火力を得る事が出来ます。
そう考えると「プロパン最強じゃん!」ってことになりますが、逆に気温が高い環境ではパワーが出過ぎて危険な事もあります。
また、コストもかかってしまいます。
普通の気温で使うのであれば、沸点が1番高いノルマルブタンでも問題なく使用できますし、コストも安く済みます。
CB缶とOD缶はどっちが良い?
ガス缶には大きく分けてCB(カセットボンベ)缶とOD(アウトドア)缶の2つの形があります。
CB缶は、もともと一般家庭用に作られた物なので、構造がそれほど丈夫ではありません。
沸点が低いガスは気化しようとする力が強く、圧力が高くなってしまうため、CB缶には圧力が弱くて沸点が高い「ノルマルブタン(ブタン)」を使用している物が多いです。
つまり、安価でとても手に入れやすい反面、寒い環境では火が着きにくくなってしまいます。
しかし中にはイソブタンやプロパンを使用した物もあるので、キャンプをする環境に合わせて選ぶと良いでしょう。
対してOD缶はCB缶と比べて丈夫に作られているため、「イソブタン」や「プロパン」を充填することが出来ます。
そのため、冬キャンプや登山など気温が低い環境でも安心して使用できます。
ちなみに我が家は、手軽さやコストの面からCB缶推しです。
しかし、CB缶でも沸点が低いガスを充填した「寒冷地用」の物があります。
こちらは通常のCB缶に比べて少し割高です。
逆に、OD缶でも沸点が高いガスを充填した「一般用」の物もあります。
こちらは通常のOD缶に比べてコストは割安です。
このように、充填されるガスによって様々な種類があるため、キャンプに行く場所や気温に合わせてガス缶を選ぶと良いです。
使いたいガス缶を決めてからガス器具を選ぶ方が良い?
現在販売されているガス缶の注意書きには、CB缶でもOD缶でも「同じメーカーの製品を使うように」と書かれています。
また、ギアの方にも「純正のガスを使うように」と書かれています。
理由として「使用途中で火力が落ちる」「最初から点火しない」「ガスが漏れる」といったことが稀に起こるからだそうです。
実際は装着できるので使えないことはないのですが、だんだん調子が悪くなってしまうということが結構あるようです。
「生産物賠償責任保険」の適用外になってしまうかも?
あまり知られてはいませんが、規定の使い方をしていないと「生産物賠償責任保険」が適用されない恐れがあります。
正しく使っていたのにガス器具が炎上してキャンプ道具が燃えてしまったり、怪我してしまった場合にメーカーが賠償してくれる保険です。
万が一、注意書きを守らずに他社製品を使って事故が起こってしまった時は生産物賠償責任保険の「適用外」となってしまうでしょう。
そう考えると、まず使いたいガス缶の種類を決めて、ガス器具を選ぶ必要があります。
これ意外と重要かと思います。
「見た目がカッコいいから」とか「使いやすそう」ということから、先にガス器具を選ぶことが多いと思います。
しかし、純正のガスに寒冷地用がなかったから使えないなんて事になってしまう恐れがあるので注意が必要です。
ガスとガス缶の種類一覧
では、各メーカーから販売されているガス缶にはどんな種類ものもがあるのか見てみましょう。
3種類のガス(ノルマルブタン、イソブタン、プロパン)の配合を変えて、家庭用やアウトドア用の製品が販売されています。
CB缶
メーカー | 商品名 | ノルマルブタン | イソブタン | プロパン |
---|---|---|---|---|
ソト(SOTO) | パワーガス | 70% | 30% | |
レギュラーガス | 100% | |||
ユニフレーム | プレミアムガス | 95% | 5% | |
レギュラーガス | 70% | 28% | 2% | |
新富士バーナー | パワーガス | 88~92% | 8~12% | |
カセットボンベ | 100% | |||
イワタニ | パワーゴールド | 30% | 70% | |
オレンジ | 70% | 30% | ||
東邦金属工業 | ゴールドカセットボンベ | 25% | 75% | |
シャトルカセットボンベ | 72% | 28% | ||
スノーピーク | ギガパワーガス CBブタン | 100% | ||
キャプテンスタッグ | 200Tスーパーガスカセットボンベ | 100% |
OD缶
メーカー | 商品名 | ノルマルブタン | イソブタン | プロパン |
---|---|---|---|---|
コールマン | 200Tスーパー | 85~95% | 5~15% | |
230Tレギュラー | 85~95% | 5~15% | ||
PRIMUS(プリムス) | ウルトラガス | 75% | 25% | |
パワーガス | 75% | 25% | ||
ノーマルガス | 65% | 35% | ||
イーピーアイガス | 190エクスペディション | 60% | 40% | |
230パワープラス | 70% | 30% | ||
230レギュラー | 90% | 10% | ||
キャプテンスタッグ | パワーガス | 100% | ||
レギュラー | 100% | |||
MSR | イソプロ | 80% | 20% | |
ジェットボイル | ジェットパワー | 80% | 20% | |
ソト(SOTO) | パワーガストリプルミックス | 35% | 45% | 10% |
スノーピーク | ギガパワーガス250プロイソ | 非公表 | ||
ギガパワーガス250イソ | 非公表 |
同じメーカーでも複数種類があれば、季節や環境によって使い分けることができるので、無駄なコストをかけずに済みます。
暖かい時期なのに、ハイスペックなガス缶を使うなんてもったいないですしね。
ガス缶を温めてドロップダウン対策
長時間燃焼を続けたガス缶を触るとキンキンに冷えてしまいます。
おまけに結露も発生すると、さらに缶が冷えています。
こうなってしまうとガスの燃焼効率が悪くなり、火力が落ちてしまいます。
いわゆる「ドロップダウン」です。
これを防ぐには、ガス缶を直接温める事が大変有効です。
とは言え、直接ヒーターなんかで温めたり、熱湯をかけたら爆発の危険があるので絶対にしないでください!
ここでは、効果的なガス缶を温める方法をいくつかご紹介します。
ブースターを使用する
缶を温める方法として「ブースター」は大変効果的です。
ブースターは色々なメーカーが販売していて、使用するコンロやバーナーに合わせて選ぶと良いでしょう。
バーナーの熱に鉄の棒が当たるように設置すると、缶に熱が伝わって温める構造になっています。
ホッカイロを使用する
かなり原始的な方法ですが、単純で効果的に缶を温める事ができます。
この効果については、使用する際の環境や火力によってバラバラですが、何もしないよりは全然良いでしょう。
カバーをつけても逆効果
一見、ガス缶を温めているように見えますか、こちらは全く逆効果で、ガス缶をさらに冷やしてしまう事になるんです。
カバーは外気から缶が冷えるのを防いでくれたり、グッと雰囲気を良くするのには役立つのですが
ペットボトルにカバーをつけるのと同じで、保冷してしまいます。
運搬する時や保管する時などに装着し、使用中は外した方が良いでしょう。
ヒーターで温めたり、ガス缶に直接お湯をかけてはダメ!
ガス缶をヒーターで温めたり、ガス缶に直接お湯をかけるなどの行為は絶対いけません!
ガス缶が温まりすぎて、ガス缶の内圧が上がり、爆発の危険があります。
まとめ
いかがだったでしょうか?
「ガス缶なんてどれも同じでしょ?」なんて最初は僕も考えていました。
しかし細かく見ていくとたくさん種類があって、気温や環境によって細かく使い分けることができるとお分かりいただけたかなと思います。
キャンプをする環境に合ったガス缶を選べば、ドロップダウンで火力が弱かったり、火がつかないなんてことも防げると思います。
また、万が一ドロップダウンが起きたとしても、対策を覚えておけば対処もできます。
快適なキャンプのために、この記事がお役に立てたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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