ラテラルシンキングって聞いたことありますか?
ロジカルシンキングは結構有名ですが、ラテラルシンキングってあまり馴染みのない言葉かなと思います。
近年、私たちを取り巻く環境は、すごいスピードで変化していますよね?
あらゆる分野でイノベーションが起き、とても便利になった反面、企業も生き残りをかけて日々変化を求められています。
企業は、固定観念や既成概念にとらわれずに自由に発想し、あらゆる変化に適応できる人材を求めています。
今回お話しするラテラルシンキングを身につける事で、様々な問題を解決したり、イノベーションを起こす事が出来るようになります。
ラテラルシンキングとは
ラテラルシンキングとは、「思考の制約となる固定観念や既成概念にとらわれずに、自由に発想するための思考法」です。
別名「水平思考」と呼ばれており、「垂直思考」と呼ばれるロジカルシンキングとよく一緒に語られます。
ラテラルシンキングの事例
SONYのウォークマン
ラテラルシンキングの例として有名なのが、SONYのウォークマンです。
1979年にウォークマンが発売されるまで、音楽を聞くというと部屋に置かれたオーディオ機器で聞くのが常識でした。
外で移動しながら音楽を聞くなんて発想は、誰にもなかった時代です。
しかし、SONYは「音楽を持ち歩く」と言う発想でウォークマンを発売し、大ヒットしました。
iPhone
次に有名なのがiPhoneです。
iPhoneが登場するまで、携帯電話、カメラ、音楽プレーヤーなどは別々の端末でした。
iPhone以前にもBlackBerryやMoto Qのようなスマートホンがありましたが、物理ボタンがあったり、処理速度が遅かったり、決してスマートとは言えない物でした。
スティーブ・ジョブズは、
「大画面のiPod、ゼロから再開発した電話、インターネットでコミニケーションが取れる革新的な新製品。これらを1つにした電話を再発明した。」
と言ってiPhoneを発表し、瞬く間に大ヒットしたのは記憶に新しいと思います。
今では、スマホと言えば全てiPhoneと同じように大画面でタッチ操作し、携帯電話、カメラ、音楽プレーヤーなどの機能を備えた製品で、私たちの生活にもイノベーションを起こしました。
このようにラテラルシンキングを用いることで、今まで気がつかなかった新しい発想をする事が出来、斬新でユニークなアイデアを生み出す事が出来ます。
ロジカルシンキングとの違い
ロジカルシンキングは「垂直思考」と呼ばれるように、事実や常識をもとに、筋道を立てて深く掘り下げて考える方法です。
対してラテラルシンキングは「水平思考」と呼ばれ、様々な視点から物事を捉え、自由な発想でアイデアを出す方法です。
簡単に言うと、ラテラルシンキングは横に発想を広げていく考え方です。
これらを合わせて使うことで、思考の幅が広がり、ビジネスや日常生活で活用できる様になります。
例えば、ラテラルシンキングで常識にとらわれない自由な発想で選択肢をたくさん出し、次にロジカルシンキングで個々の選択肢の妥当性を検証するといった使い方です。
ラテラルシンキングを使いこなすためには
ラテラルシンキングをビジネスなどで使いこなすためには、3つの力が必要となります。
- 疑う力
- 抽象化する力
- セレンディピティ
疑う力
ラテラルシンキングでは、ある意味最も重要な力です。
固定観念や常識にとらわれていると、ありきたりな発想しか思いつきません。
以前は非常識だったことが今では常識な事もあり、きちんと意識して考えないと、間違った結論を導き出してしまう事もあります。
「お茶を買って飲む」なんて昔はあり得なかった
例えば伊藤園のお茶を例にしてみましょう。
伊藤園は1984年に緑茶の飲料化に成功し、翌年「缶入り煎茶」を発売します。
当時日本では、「お茶はタダで飲めるもの」と言うのが常識でしたが、駅弁と一緒に売り出したり、コンビニへ営業して徐々に売り上げが伸びていきました。
1990年に1.5Lや2Lの大容量ペットボトル、1996年に500mlのペットボトルの販売が開始され、今では「お茶を買うこと」は常識となっています。
「お茶はタダで飲むもの」と言う前提を疑い
「お茶なんて売れない」と言う先入観を疑い
「お茶は急須で入れる」と言う枠組みを疑い
新たな市場が生まれました。
トイレをきれいに使わせるためにしたこと
「いつもきれいに使って頂き、ありがとうございます」
という掲示をよく目にすると思います。
それまで、トイレをきれいに使ってもらうために「トイレを汚すな」「きれいに使いましょう」と掲示していましたが、掲示を変えたことで以前よりもきれいに使ってもらえるようになったなんて聞いたことありますよね。
「汚すな」「きれいに使え」と言うように命令して外からコントロールするのではなく、「ありがとう」と人の感情を中からコントロールすると上手くいくという様に、「アプローチの方法を疑って問題を解決した」と言う例です。
アイスのカップ
あるテーマパークで、カップ入りのアイスを売っており、とてもよく売れていたのですが、アイスを食べた後のカップやスプーンがテーマパークの芝生に捨てられてしまい、問題になっていました。
普通ならゴミ箱を増やしたり注意喚起の看板を設置しますが、カップごと食べられるものにしてはどうかという事で、そもそもゴミを作らないことで問題が解決したそうです。
「アイスは容器に入っているもの」と言う前提を疑い、「容器は食べられないもの」と言う先入観を疑った例です。
抽象化する力
ボールペンのインクが切れた時、物を書くために別の物で代用しようとしますよね?
鉛筆やシャーペン、筆ペンなどなど。
ボールペンの本質は「書くもの」ですが、同じ本質の物で代用できないかと発想したからです。
本質を見抜いたヘンリー・フォード
馬車が主流だった19世紀末頃、人々はより早い馬車を求めていました。
かつての自動車王ヘンリー・フォードは
馬車=速く移動するもの
として物事を抽象化し、馬車ではなく自動車を作りました。
この様に、物事の本質をとらえ、別のもので具体化するという「抽象化」と言う発想はとても大切です。
新聞は万能品?
例えば新聞の本質はなんでしょうか?
- ニュースを伝えるもの
- 広告を載せるもの
- 物を包むもの
- ゴキブリを叩くもの
などのように、1つの物音をいろいろな角度から捉えることで、対象の本質は変わってきます。
そう考えると、今では紙の新聞を取っている人って少なくなってしまいましたが、これに変わる物を作れば大ヒットするかもしれませんね。
セレンディピティ
セレンディピティとは「偶然を偶然として無視しない力」「偶然を何かに関連づける力」という意味です。
1928年アレキサンダー・フレミングは、ブドウ球菌を培養中に、ペトリ皿に落ちたカビの周囲のブドウ球菌が溶解しているのに気がつきました。
このことにヒントを得て、実験から抗菌物質を抽出し、アオカビの属名であるPenicilliumにちなんで「ペニシリン」と名付けました。
偶然落ちたカビを、偶然として無視しなかったことで、世紀の大発見が生まれたんですね。
他にも「藁に包んだ大豆を放置していたら納豆になった」事や、「小麦を炎天下に放置していたらパンになった」なんて感じで、私たちの身の回りには偶然から発明されたものがたくさんあります。
トヨタ生産方式は偶然の産物
世界的に注目された「トヨタ生産方式」は、自動車を組み立てる時に必要な部品が必要な時にある様にする仕組みです。
これは、スーパーマケットの商品管理から発想されたもので、
顧客が商品を買う→商品が減る→商品を補充する
というスーパーでは当たり前の方法を「車の生産に応用できないか」と考えて取り入れられたものです。
偶然を偶然として無視しないことや、偶然を何かに関連づけるには、日頃からあらゆることに感性のレーダーを張り巡らせておくと、セレンディピティが高まり、インスプレーションが沸いてくると思います。
日常の何気ない事に興味を持ったり、驚き、感動することで、貴重な宝物を発見する力が身に付きます。
まとめ
いかがだったでしょう?
ラテラルシンキングは、思考の制約となる固定観念や既成概念にとらわれずに、自由に発想するための思考法です。
「今まで気がつかなかったり、新しい発想斬新でユニークなアイデアを生み出す事が出来るもの」と言うのがわかっていただけたかと思います。
ラテラルシンキングを使いこなすためには、
- 疑う力(前提、先入観、枠組みを疑う)
- 抽象化する力(物事の本質を捉えて、別のものとして具体化する)
- セレンディピティ(偶然を無視せず、何かに関連づける)
と言う3つの力が必要です。
日頃から「当たり前の事を注意深く観察し、あらゆることに感性のレーダーを張り巡らせておく」とラテラルシンキングは鍛えられると思います。
ぜひ、ラテラルシンキングを身につけ、ビジネスや日常生活に活かしてみてください!
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